要点
落ち着いて始めるために
- 展望記憶は、後で行うつもりの行動に関わるもので、未来を予測することではありません。
- 実行するタイミングは、時刻や出来事で決まることがあります。
- やるつもりのことを知っていることと、適切なタイミングで思い出すことでは、求められることが異なります。
- ADHDについての研究結果は、調べた課題などによって異なり、1人の人を完全に説明するものではありません。
01
この言葉が表すこと
今、やるつもりのことが生まれ、実行するのは後になります。その間は、他のことをしています。専門的な定義と、時刻・出来事による区別は、リンク先のPLOSの論文で説明されています。
時間ベース:特定の時刻に行動する
「15時に、約束した電話を始める」。時刻がタイミングを決めます。役立つ合図は、間に合うように気づける必要があります。電話が大切だと知っているだけでは、まだきっかけが定まっていません。
事象ベース:手がかりが現れたときに行動する
「友人に会ったら、借りた本を返す」。ここでは、会うことが基準になります。その出来事が実際に起きる必要があります。返す期限が決まっている場合、いつか会うかもしれないというだけでは十分ではありません。
内容と実行を分けて考える
後で、どの本を返すつもりだったかを正確に言えても、会ったときには思い出さなかったかもしれません。意図の内容と、適切なタイミングでそれを取り出すことは関係しますが、同じ問いではありません。
02
ワーキングメモリとの違い
日常の目安として、ワーキングメモリは今保って処理する情報に関わり、展望記憶は、意図したことを後で実行することに関わります。実際の課題では、複数の過程が組み合わさることがあります。
今、情報を使う
番号を読み、すぐに別の欄に入力する場合、その情報は今必要です。既存のワーキングメモリの記事では、今使っている頭の中の作業スペースを詳しく取り上げ、個人的な経験を紹介しています。
後で、やるつもりのことに戻る
朝、次に会うときに本を持っていこうと決めます。実行するのは後です。その考えを1日中意識して保つ必要はなく、適切なタイミングでまた取り出すことが大切です。
やるつもりのことを忘れても、診断にはならない
1つの例だけでは、どの過程が関わったかはわかりません。意図が曖昧だったのかもしれず、物がなかったり、合図に気づかなかったりしたのかもしれません。意図したことを逃した経験から、ADHDの診断や特定の記憶の特徴を導くことはできません。
03
ADHDの研究でわかることと、まだわからないこと
下にリンクした研究は、大人を具体的なテスト状況で調べたものです。ADHDのある人全員が、後で行うつもりのことを同じように忘れるという、一般的な主張を示すものではありません。
違いは、課題によって異なる
Altgassenらは、コンピューターを使った朝食課題で、ADHDのある大人25人と対照群25人を比較しました。時間ベースの意図には違いがありましたが、事象ベースの意図にはありませんでした。一方、各群18人の別の研究では、事象ベースの課題でも違いが見られました。
計画も関わることがある
Fuermaierらは、複雑な課題で、ADHDのある大人45人と対照群45人を比較しました。最も明確な違いは計画にあり、調べた他の要素の効果は、より小さいものでした。この結果は、異なる要求を分けて見ることの意義を示しています。
集団の結果は、個人への指示ではない
サンプルの小ささや、特定のテスト課題は、結果を他の状況に当てはめる際の限界になります。これらの研究は、ここにリンクしたテンプレートやmeinsystem.appを調べていません。次の提案は、試せる実用的な可能性であり、治療や成功の保証ではありません。
04
日常で行うつもりのことを、具体的に準備する
見通しのつく意図を1つ選び、行動、タイミング、必要な物を別々に確認します。そのために、記憶を助ける仕組み全体を作り直す必要はありません。
行動を具体的に書く
「本」を、「借りた本を会うときに持っていき、返す」にします。短い記録で、実際に何をしたいかを残します。準備が必要なら、最初のステップとして別に書きましょう。
時刻か出来事かを、はっきり選ぶ
時刻が決まっている場合は、適した合図のあるカレンダーを使います。調整できる意図なら、繰り返す出来事が合うこともあります。その出来事が間に合うタイミングで起きるかを確認しましょう。きっかけを選んでも、期限が柔軟になるわけではありません。
実行前に、必要な物を手に取れるようにする
通り道をふさがず、バッグの近くの適した場所に本を置きます。電話なら、必要な番号を予定の項目に書けます。合図と、使える場所にある物は、準備の別々の部分です。
試した後で、具体的に不足した部分を確認する
合図を見ましたか?行動は明確でしたか?その時点で始められましたか?タイミングが合わなかったなら、意識して変え、新しい計画を書き留めましょう。時間がないことやステップが曖昧なことに対して、合図を増やすことが、いつも適切な答えになるわけではありません。
具体例
例:会ったときに、借りた本を返す
架空の日常の例で、意図、準備、実行をつなげます。記憶力のテストでも、誰にでも当てはまる基準でもありません。
- やるつもりのこと
- 木曜日に約束した集まりで、借りた本を返す。
- 準備
- 出発前に本をバッグに入れる。適切なタイミングに、準備の予定を書く。
- 会ったとき
- 返すことを伝え、本を渡す。
- 集まりがなくなったら
- 相手と新しい日時を決め、以前の項目を更新する。
- 完了
- 返した後で、完了にする。バッグに入れた状態と、返した状態は異なる。
- 振り返り
- 未完了だった場合、本がなかったのか、合図に気づかなかったのか、状況が変わったのか。影響のあった部分を調整する。
この記事の位置づけと信頼できる基礎情報
この文章は、個人の経験と一般的な情報を組み合わせたものです。診断や治療の代わりにはなりません。医療上の基礎情報については、ドイツ連邦政府の公式健康情報のADHDと自閉スペクトラムをご覧ください。
meinsystem.appの創設者、Max Anton Schneiderが執筆。 開発の背景へ
専門的な位置づけのための出典
- APA心理学辞典:展望記憶 ↗後で何かをすることを思い出すという用語の定義。簡単な説明の根拠であり、記憶を助ける手段の効果を示すものではありません。
- APA心理学辞典:ワーキングメモリ ↗短時間保ち、処理する情報についての用語の定義。後で行う意図との違いを説明する根拠です。
- Fuermaierら(2013):ADHDのある大人の複雑な展望記憶 ↗全文:定義、時間・出来事との関係、各群45人の大人を対象とした複雑な課題。最も明確な違いは計画にあり、ここで提案した日常の手助けは検証していません。
- Altgassenら(2014、オンライン公開2012):展望記憶における課題による違い ↗要旨:ADHDのある大人25人と対照群25人。この課題では時間ベースの意図に違いがあり、事象ベースにはありませんでした。サンプルは限定的です。
- Altgassenら(2019、オンライン公開2014):ADHDにおける事象ベースの展望記憶 ↗要旨:各群18人の大人。この課題では事象ベースでも違いが見られました。一律のルールではなく、異なる知見を位置づけるための補足です。
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